チェコのマンモス化石

マンモス化石についてもう一度整理して書いておきたい。
プシェロフ市郊外のプシェドモスティはむかし大量のマンモス化石が発見されてたいへん有名なところである。プシェドモスティで2006年7月現在、やっと本格的調査が始まった。この発掘現場は、今までに本格的発掘がなされてきたヴェストニツェという有名なマンモス化石の地よりも、さらに劇的な発見があるのではないかと期待されていが、本格的な発掘と調査はずいぶんと遅れてしまったが、これから取組むそうである。


ここですでに正式なチェコ考古学上の大発見となったヴェストニツェというチェコ中南部で発見されたマンモス狩猟民の遺跡の報告を翻訳して要点をメモしておきたい。
Images of the Past, T.Douglas Price/Gary M. Feinman共著、2001年第三版、
Dolni Vestoniceの章、P.124〜P.127
 かってヨーロッパのツンドラ地帯にはマンモスが生息していた。チェコのヴェストニツ          
 ェには800〜900頭のマンモス化石が見つかったが、黄土に覆われた土壌に埋もれていた化石の保存状態はいいものであった。
 1947年から本格的な発掘調査が始まり、25,000年前の化石がたくさん見つかった。当時この地方は永久凍土に覆われていたのだった。
 そこには巨大な小屋があった。石、土、木柱、マンモスの骨をつかって建てた住むための建築物で、9x15メートルの楕円形をしていた。そこに堆積していた灰のなかに、マンモスの骨に女性を彫刻した見事な美術品が見つかった。ヴェストニツェのヴィーナスと呼ばれる作品である。

 その後近くのべつの小屋では中空の小鳥の骨が発見されたが、楽器として用いられたようである。さらにその小屋の真ん中には炉床があり、そこに2300個の15,000年ぐらい前に焼いた粘土の小さな像が出土したのである。いまだ陶器製造の方法が発明されていない前の、世界でもっとも古い焼土の像であった。