「レトロなトラム」

チェコを初めて訪問したのは昔のことで1968年の暮れだった。
1969年と1970年にも休みを利用して遊びにでかけた。
チェコ人の友達の家に泊めてもらい遊んだのだが、トラムによく乗った記憶がある。

1930年製造のトラムがオロモウツ市に保管してあるというのを聞いたので訪問して見学させてもらった。

そのトラムは電子式制御なんぞ積んでいなくてレトロな一台だ。
一目見て懐かしさがこみ上げてきた。
説明をしていただいたが、このトラムは1960年代オロモウツ市を走り続けていたそうだから、
自分もきっと乗ったのだろうと感慨深かった。
トラム内部には装飾は一切なく簡素なベンチがあるだけ、頭のなかでは当時の宣伝広告もなければ派手な色もない暗い雰囲気のチェコを思い出していた。

(だが、生活水準と言えば決して低いということではなかった。体制が異なるので比較するのは無理だが、ストが頻繁に発生していた経済大減速時代の英国よりも、普段の日常生活はチェコの一般市民はのんきに暮らしているように見えた)