七面鳥とワイン

ターキーの丸焼きとワイン

七面鳥の丸焼」
家族が揃ったので七面鳥の丸焼きをメーンに,葡萄酒やチーズで食事した。
ターキーの丸焼きは米国のジェーンが上手で毎年ご馳走になったものだ。
それで,ジェーンに電話をかけて長話をした。
丸焼きのターキーの腹の中に詰め物をするのだが,その肉の詰め物に味付けをするから,ターキーの肉に味が染みて美味しく焼けるのだ。それが想いでのひとつだと言うとジェーンは嬉しそうだった。
次ぎにフランシス,その後はシャーリーと長電話。

「年末の掃除」
ほんの少し掃除をした。足の踏み場もない自分の部屋では,もう読まないだろう本をたくさん捨てることにしてスペースを作り,新しい品々を並べた。
台所を整理したり,玄関の下駄箱だとか片づけると,妻が隠しているワインやどこの国の飲み物か今では妻も分からない飲み物が発見される。
自分が記録していたメモが見つかった。読み直してみると面白い作品だ。
忘れないように記録しておきたい:


「肉断食」
2005年2月6日(日曜日)
キリストは十字架にはりつけになる前 砂漠で40日間断食をした。
キリストの信者は旧バイブルの教えにより、40日間肉を食べなかった。

現在 チェコキリスト教の習慣では、イースターの前に 「肉断食」というお祭りを行なう。

お祭り「肉断食」(ここでは分りやすい訳で 肉断食 と呼ぶ)は日曜日行なわれ、
その週の水曜日教会にでかけるとメサで 「灰の十字架」を額に描いてもらう。

イースターの前の金曜日は 「大金曜日」と呼ばれ、肉断食の日である。

「肉断食」のお祭りは 仮面の行列が町や村をパレードして、子供を喜ばせる。
仮面はたいてい動物の頭の格好だ:熊、鶏、狐など。黒人の仮面もある。
今風に 携帯電話の格好を仮面にした人がいてTVニュースになった。


プシェロフからバスで10分のところに人口1000の村ラドスラヴィツェという寒村がある。
そこのお祭りを見学した。例年とても寒い時である。

ラドスラヴィツェ村は、14世紀のむかし下級貴族ラドスラフが造営し 一時は1200の人口であったが、今は寒村,小さな村だ。

この村の記念物として興味あるのは、むかしギリシャから兄弟でキリスト教の布教にきて近くに暮らした聖人像が2つ並んでいる塔であろう。

3kmほど離れたところに砂糖工場がある。以前は中米から砂糖を輸入していたが、戦争で貿易が困難になった19世紀にビートを材料として砂糖の生産が始まった。
このチェコの砂糖工業は繁栄を続けたものであり、角砂糖の発明はチェコである。


さて、お祭りは子供づれの親子が多い。音楽が流れてくるとみなパレードの始まりを意識する。
もっとも大切な仮面は熊である。熊という単語ははスラブ語では「はちみつを見つける」という意味に由来する。とても大切な動物であった。
この仮面の熊はムチをもつ人に誘導されて町中を練り歩く。ほかの仮面はばらばらに練り歩いている。
仮面をつけた20名ていどの人の後を村の人々がぞろぞろと散歩がてら後ろになったり前になったりしてついていく。


民家の窓からお酒を振る舞う人がいる。子供にはお菓子を配っている。

道化師は軽快に走ったり飛び跳ねたりして小遣いを求める。
音楽は村民が幼いときにはいつも聞いていた懐かしくも楽しい民族音楽。消防車におかれたテープ再生機から音が出ている。

もともと仮面のお祭りはキリスト教いぜんから行なわれていた。いつ頃どこから伝わってきたのかはまったく分からないが、記録か何かでずいぶんとふるい習慣というのは分かっている。

それがキリスト教のお祭りとなり、革命前まではそうとうにぎやかなお祭りだった。
80名ぐらいが仮面をつけて村のほとんどの人がお祭りを楽しんでいた。
村の楽団が馬車の上で演奏した。

仮面はなかなか手の混んだ作りになっている。土の型を利用して紙とのりで固めて作ってある。

この様に素朴なお祭りは年々規模が小さくなっている。その事情はどこの国でもほぼおなじだが、チェコの場合には少し特色がある。

チェコの場合には共産党の力がとても強くて自由主義的なことは強く制限されていた。その反動は陰で共産主義を批判したり、洒落を使って比喩的に軍隊を非難したりした。宗教でいえば、教会の外見はひどくみすぼらしかったが熱心に祈る人も大勢いた。

そしてイースタのお祭りは盛大だった。子供がとても楽しみにした数少ないお祭り事であった。

今では観光地をのぞいて年毎にこの歴史的なお祭は次第にきぼが小さくなる運命のようだ。


メモ:「肉断食」は,いわゆる「謝肉祭」として,国により習慣が残っていたりまったくない国もある。