地底湖

無人のテプリツェ駅から徒歩で一キロ離れたところに国の自然公園があるというので、わたしたちは自動車に乗って、遠回りして、背の高い野草が目の前をふさいでいる道を走った。テプリツェ駅から公園には自動車道が通じていないから、遠回りしたわけだが、そのお陰でなだらかな丘を眼下にしてかわいい小村が散らばる平原と遥かかなたの山脈を見学するドライブだった。10月の紅葉は美しいそうだ。
国の自然公園へは草木をかき分けて入った。

国指定とはいえ自然公園に興味があったわけでないがジュラチャン氏がつよく勧めるので連れて行ってもらったこの公園には、わたしは初めてお目にかかる地底湖というのがあった。中欧でもっとも深い地底湖だという。
林の中にぽっかりとおおきな穴があいている。水が落ちているわけではないから滝ではない。やはり地底湖と呼ぶのだろうか、または水中洞窟と呼ぶのが正しいのだろうか、眼下に小さく見える小屋があり、梯子が水面に潜っている。ガイドがいないと水面近くまで行けないのでわたしたちは手すりにつかまって水面を覗き込んだ。

聞いた話によると、1995年には水面下205メートルの深さを確認した記録があり、最近はオランダ人探検隊がロボットを沈めて水面下260メートルぐらいはあると観測したが、確認はできなかったそうだ。未確認では300メートル以上の深さだと報告されている。
冒険家にとって挑戦の甲斐がありそうなこの地底湖は、フラニツェ洞窟の底である。フラニツェはオロモウツから30キロメートル東の町で、その洞窟は町の南方向の郊外にあるローカル線テプリツェ駅から一キロの距離。

今日案内してもらった場所のごく近いところには石灰を採掘した現場が残っている。治療スパーで療養者と観光客が集まるテプリツェも近く、そこには観光者が冒険する探検洞窟がある。フラニツェからさらに東40キロも行くとわたしたちも観光した古代化石が発見されたシプカ洞窟があり、その他古い人類の骨が発見された洞窟もある。ジュラチャン氏の洞窟も、国指定の自然公園の地下にある地底湖も今後の開拓が楽しみな大自然の贈り物である。

食事ではマス料理をご馳走になった。

http://4travel.jp/traveler/fk/album/10085097/